今日はオフィスメートのホームパーティーに行った。
南麻布な上に、なかなかお洒落な家で、しかも家賃がわりとリーズナブル。(彼ら自身は違うけれど)少しだけエキスパットの世界を垣間見る。
気心知れた人々のほか、知らない人達も多少いた。その中で会ったのがジャマイカ人。出身はニューヨークで、ニューヨークの名門大学を卒業後、今揺れている最大手の金融機関に勤め、日本にエキスパットとして来ているらしい。エキスパットって、なんか不相応にお金をもらって優雅に生活をするような勝手な先入観を少しだけ抱いていたけれど、それが崩れた。
ジャマイカってさー、やっぱ、ボブマレー?うちの親父ボブマレー好きだけど、やっぱジャマイカだと、神様的な存在なわけ?
いやー、まあ、ボブマレーは、神様ってわけじゃないけれど、ボブマレーの音楽がかかるとみんな踊りだすんだよ。それは、つまり、ボブマレーの音楽がかかったら、それが道路でも、お店の中でもビーチでも、とにかく今やっていることの手を止めて踊りだすんだ。そんな存在。
わお。そりゃさ、もう神だよ。でも、ジャマイカ、さっき自然が綺麗って言ったけど、東京とかにいるとさー、そういうところに住みたいなってよく思うんだよねー。
そう?確かにバケーションとしてはいいかもしれない。でも、実際、仕事がないんだよねー。うちの家族は、みんなニューヨーク、カリフォルニア、ペンシルバニアに散らばっているけどね。
そっかー、ところで、ニューヨークに行くケースって結構あるの?
うーん、一般的にあるとはいえないけど、うちは両親が子供にどうしても大学を出て欲しかったみたいで、それで何とか大学に行くことができたんだ。
でも、最近は大変だよ。いつ首になるかわからないし。給料日になると、給料がちゃんと振り込まれているか確認してから出社するくらいだから。昔からじゃ信じられないけれど、特に最近はこんな感じなんだ。
エキスパットとして一見華やかな世界に住む彼の世界の裏側を少し垣間見た。
ジャマイカで生まれ、ニューヨークで生まれ育って一流金融機関のバンカーとして日本にやってきた彼の目に、今の世界はどう写るんだろうか。
とべーの話をした。わお、
そりゃ、すげークールだ、力を込めてそういってくれた。
まるで自分がニューヨークに出てきて、そこから金融の出世街道を登ってきた過程を思い出しているかのように、少し遠くを見つめたのかもしれない。すぐに視線を元に戻して、言葉を噛みしめるようにまた僕に行った。
そりゃ、すげークールだ。力を込めてそういってくれた。
その後、みんなが持ってきた各国の料理をほおばりながら、いっぱいいっぱいの即席英語漫才?をやる同僚に笑いつつ時を過ごす。逆立ちしている人もいれば、ダンスをしている人もいて、こう書くとすごく変なんだけど、平和に時が過ぎた。
そして、帰り際。ジャマイカの彼にまた挨拶をする。
そっか、すげークールだ、本当に一番やりたいようになるといいな。その目には力が込められていた。きっと苦境に立たされているなかで、新しいフェーズに入ろうとする後輩に希望を託すかのように、または少し昔の彼自身を僕の中に見ているのかのように、いずれにしても、彼の中の何かが過ぎってそういう言葉が自然に発されたのかもしれない。
帰路に着く中、すごく些細だけれども、なんともいえない感謝と高揚の気持ちが自分の中に持っているのを感じた。自分もそういう言葉を投げられるようになりたい、素直にそう感じた。