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パフォーマー+社会の塵=ワクワクする都市

5月17日放送の下記番組を一ヶ月遅れで見ました(・・;)


あらすじは以下のとおり
番組サイトから抜粋)

最近、テレビはすべてHDDに録画したものしか見なくて、さらに見るタイミングも遅れるので、いつになく超マイペースに生活している感じです。。

ニューヨーク街物語 アートを育てる空き店舗

地価高騰のあおりを受け、活動の場をなくす芸術家たちが増えているマンハッタン。
そんな中、空き店舗などを借り上げ、パフォーマンスのステージとしてアーティストに
無料で解放している非営利の団体があります。その代表は、かつて自らが前衛芸術家
として活躍したアニータ・ダーストさん、39歳。現在15か所の空き店舗などを、
イベントのステージやギャラリーとして、芸術家たちに無料で貸し出しています。
実はアニータさんは、マンハッタンの不動産王、ダースト家の長女。そのネットワーク
を使って、空き物件を借り上げています。大都市に一時的に発生する小さな隙間を
アーティストたちのために役立てる、アニータさんの活躍を紹介します。




かなりインスパイアされました。

まず、着眼点にウロコが落ちました。

不動産にテナントが入るまでの一時的な「空き」に着目して、そこをアーティストたちの表現の場として提供する。そういった不動産の一時的な「空き」が社会に散らばっているところに目をつけて、それを「価値あるもの」に変えてしまう(*)。誰かが見つけることで価値が付けられていくものってきっとまだまだいっぱい転がっているけど、なかなかそれを目に見える形で役に立つように用するのは難しい。

ビジネスではそういった転用をレバーにして事業を展開する場合もあるし(*)、それはそれでとっても面白い大好きな発想なんだけど、そういった転用の役割をNGOが担ってしまうことがすごくすごく新鮮でした。

一ウロコ(目からウロコが一つ落ちました。)


(*)ロケーションバリューというベンチャーがあります。以下はサイトからの抜粋ですが、

位置情報と「働く」をかけあわせて、近くでチョットだけ「おてつだい」することを実現します。オークションサイトは、物の売り買いをネットで実現し大きな市場を作りました。ただ人間が持っている最大の資産である労働力は、細切れにして取引することが非常に困難でした。労働力は時間の経過とともに消滅していきますし、距離が離れていると移動時間がかかって実労働時間が減り効率性が失われます。このため細切れの労働力というのはあまり活用されてきませんでした。


という問題意識を持って、その労働力の活用をすることで社会の「空き」を「価値のあるもの」に転用しようという発想。すごく革新的で魅力を感じます。ベースにある発想は同じなのかもしれません。




次に、ヴィジョンにウロコが落ちました。

番組の中でアニータさんは、

金融が活発になり、不動産価格の高騰が進む中、どんどんニューヨークの不動産にはブランド品店が入ったり、収益性の高いテナントが入るようになった。だから、かつてアーティストが活躍していたようなアトリエは次々と姿を消してしまい、昔のようにアーティストが自由に表現できる場所がなくなってしまったの。

ニューヨークって、昔からアーティストが自由に発想して、表現して、さまざまな芸術を生み出すエキサイティングな都市で、それが街の大きな魅力だった。街がスターバックスだけだったりしたら面白みがないでしょう。様々なアーティストが自由に表現できるようにしたかった、それがきっかけね。


という趣旨の発言をしていた。アートのイノベーションですか。ものごとのモノサシをついついショッピングセンターがどうとかブランド街がどうとか、そういった杓子定規に気づかないうちにとらわれそうになっていたかも。街だって、そりゃ、そり世界のマネーが集まった都市の方が一流都市なのでは?ドバイすげー!とか思っていたり。そうそう、気づかずにそういった風潮に特に違和感を感じなかったかも。このあたりは特に主義主張をもたずに、「おしゃれな都市」かどうかの判断基準だって気づかないうちに既存のモノサシで考えていたような気もします。「あそこヴィトンが入ったんだってねーおしゃれ♪」みたいな感じのノリでしょうか。そういった「何となく受け入れている発想」からハッと目を覚まさせてくれます。

アーティストが自由にさまざまなパフォーマンスをやれて、それで様々な感性が交錯して、そんな面白い街、なんかこちら側にいる僕までもワクワクしてくる。そんなヴィジョンに2つ目のウロコ。




さらに、そこで活躍するアーティストの生き様。

一つの物件に200人以上のアーティストが応募するだとか。
番組で出てきたパフォーマーも、普段はウエイトレスをやっていたりして、パフォーマンスの機会をうかがっているとのこと。そういえば、ニューヨークでは、ブロードウェイのオーディションを受けるためにウエイトレスをしながら機会をうかがうアクター・アクトレス志望があふれかえっている町だとか。テレビに出てきたアーティストも、本当にパフォーマンスをしている顔が輝いているんですね。ウォールストリートの金融街で激務をこなしているビジネスエリートの数倍輝いているのかもしれません。しかも、その視線や発言にはまったく疑問を感じさせない。こういうのを見ると、自分がいつも考えている人生やお金に対する考え方がいかに「狭い方にはまったモノサシ」に過ぎないか、よくわかります。


「好きなことを仕事にしたいけど食べていけるか」とか「それでは十分な収入が・・・」とか、なんかつい僕を含めてみんなが発言しそうなことをまったく気にかけていない、きっとそれがあるべき姿なんだろうけどね。つい、色々なことを考えがちで、それだからこそ本当に自分に大切なものを見失いがちな僕にとってはとっても目の覚める、eyepoeningな瞬間でした。

アニータサンも高校中退。そこで、パフォーミング・アートの世界に触れ、そのリーダーに触発されたとのこと。


高校中退ですべてに対して自信を失った私を救ってくれたのがパフォーミング・アートだった。
自分でも打ち込めるものがあって、表現できる何かがあって、その世界にどんどんのめりこんだわ。実際のパフォーマンスをしなくなってからも、こういった他のアーティストの表現の場がなくなっている現状をみて、何とかしようと思ったの、そこで、不動産の空きスペースに着目したのよ。


だいたいこんな趣旨の発言をしていました。聞いていると、そのNGOでの活動も、自分の体験が原点だったんだな、と納得。その迷いのなさに羨ましささえ感じました。



こういった人たちの活動があって、ニューヨークのアートが、そして文化が彩られているのだなあ、と。東京はどうなんだろう。いずれにしても、そこには自分が普段見過ごしがちな、でも、大切な価値観が転がっている。素直にそう感じました。

そんなEyeopening、目からウロコな番組の備忘録でしたー(・・)


(おしまい)




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by sipoftip | 2008-06-25 04:20 | 雑感


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