●裏をかかれた
先日、サークルの忘年会でN先輩が政治の世界に入る形で動いており、具体的に選挙への出馬を踏まえて、着々と準備を進めているということを知りました。
その感想は、「えーー!びっくり!まあ、でもあの人ならあり得るな」というものです。
N先輩はサークルの創設メンバーのリーダー的存在であり、大学卒業後、某大手家電メーカーに入社後、社内ベンチャーに参加し、その後、自分でネット業界で起業していました。
その先輩が起業するとき、社内ベンチャーで培った人脈をフル活用し、社内ベンチャーでの成功でブランディングしたという風に聞いて、「なるほど、社内で法務から企画に転向したときの最終的なエグジットは起業だったのかー」と眼から鱗が落ちる思いでした。
●「とりあえず」の危険
その起業の話を聞いたのは、別のサークルのT先輩の結婚式でのことでした。当時、弁護士になって1年ちょいだった私は、日々の業務をこなすのにも精一杯であり、その先の何を求めているのかということをそこまで真剣に考える余裕はありませんでした。さらに振り返ると、司法試験を受けるということを決めるにあたってはすごく考えましたが、司法試験受験を初めてから受かるまでの2-3年間は、「国際的な舞台
(*1)で活躍できる専門家になる」というような抽象的なイメージはあったものの、具体的に突き詰めた自己分析はしていなかったように思います。
そういった意味で、「とりあえず」弁護士になった、ともいえます
(*2)。
この「とりあえず」って、一つの有効なコマの進め方ではありますが、非常にコワイと考えています。これって、法学部のまあまあ優秀な学生が「とりあえず」弁護士になり(or日銀や国一)、その他比較的優秀なヒトが「とりあえず」コンサルや投資銀行に行く、という流れもそうでしょう。ある程度優秀な高校生が「とりあえず」医者になる、なんて場面も多いと聞きます。
だいたい、「とりあえず」のところって、お金も結構いいし、相応の能力が要求されるという意味で知的にもある程度面白いし、女の子受け(?)もいいし、という魅力があるところが多く、近視眼的にみれば、「つぶしがきく」とか「あとで役に立つ」というおなじみのキャッチフレーズの業界が多いはずです。
こういった「とりあえず」の業界は、どれも仕事が非常に大変なことが多く、それゆえに日々の業務に忙殺され、「とりあえず」としてモラトリアムを設けたものの、その次が見えないままに時を過ごすひとも多いんじゃあないかな、と思います。そのうち当初持っていた志も忘れてしまう人も多いんじゃないかと思います(弁護士業界も同じだとおもう。)。
これってすごく危険なことだと思います。だって、たとえどんなに優秀だとしても「とりあえず」
その仕事をやっている人と、「どうしてもやりたくて、面白くて仕方ないから」その仕事をやっている人だと長期的なコミットメントでは(そもそもの素養で後者が劣っていたとしても)どうしても差が出てくると思うからです。後者が勝つんじゃないでしょうか。単なる競争という意味でもそうですし、人生を満喫するという意味においてもです。
自分がそんな「とりあえずの罠」にはまっていたとき
(*3)に、そういった起業などの目標に向けて道筋をつけてキャリアを展開されているとの話を聞いて、ずいぶんと自分がちっぽけな存在に思えたのを良く憶えています
(*4)。
(*1)国際的な舞台といっても、地域はアフリカから欧米まで色々あり得ますし、国際金融から国際協力までさまざまなことを念頭に置いていました。これは、自分が従来から興味が広いタイプだったこともあり、それならば弁護士とかは使えるかも知れないと思ったという打算もありました。
(*2)もちろん、弁護士になれば自分の可能性は広がるだろうという打算はありましたし、とりあえず司法試験を受ける以上、弁護士になるというステージに立たないとお話にならないと思っていたので、それなりに目標はありました。でも、その先に何があるかを「クリアに」イメージできていなかったという意味で「とりあえず」弁護士になったと言われても仕方ない側面もあるかもしれません。
(*3)司法試験はやはり相当なエネルギーを使うため、受かること、弁護士になること自体が
目標になってしまう人をよく見かけます。自分はすごく気をつけていたものの、少なからずそういった悪しき(?)傾向が身にしみてしまったのかもしれないな、と思いました。
(*4)チキンなので、すごい人をみると、必要以上に自分が小さく見えてしまうという初期症状が出ます。その後、よーく分析し、ばらばらにし、自分の肉としますので、その意味ではチキンでなく、したたかなハイエナのようでもありますが(笑)。今の自分はこういって受けた刺激の積み重ねによってできていますし、これからもそうなのでしょう。
●再びとても鮮やかに裏をかかれた。
N先輩から起業の話を聞いたとき、「そうかーやはりビジネスマンやってると自分で起業したくなるんだな~、いずれは上場して、ということを考えているのかな」なんて思っていました。
でも、今聞くと、そのときの起業って、選挙資金との関係も視野に入れていたみたいです。また裏をかかれました。かなり鮮やかに一本取れられた気分です。
N先輩の経緯をみてみると、サークル創設に始まり(*1)、すごく行動力があって、まさにMBAとかでいうアントレプレナーシップを素でいっているような人だと思いました。はてはて、自分もそういった素養をまねしたいな、そして、次の一手を打ちたいなと、最近強く思います(実は仕込み中ですが(?ホントか?)、GOALを見据えるのに異常に時間がかかっています。。。)
(*1)そのサークルは、アメリカやヨーロッパでは法学部生のネットワークとなる団体があるのに、アジアじゃないのはおかしい!是非作ろう!ということで作られ、現在は創設時には考えられない形で継続的にかつ順調に発展してきています。すごい!!
●裏をかく方の視点から
裏をかく人は、最初から最後を見据えていて、そのプロセスを小出しにしている(またはプロセス毎に見せている)だけであり、全体が一つのつながったストーリーになっているはずです。
だから、きっとN先輩の目には政治家になってからどうするかという点も見えているのかもしれません。そこに至るプロセスで、今では起業→政界参入という驚きがあったですが、次に何がくるのかすごく楽しみです。
逆に自分もそうやって楽しまれる人物に是非ともなりたいものです。東京という日常でも、日々アンテナを強く持たなくては~~。
そう思った今日の忘年会のヒトコマでした。
(おしまい)