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ジャーナリストのセレンディピティとアルパインスタイル~雇用融解~


去年読んで、ずっとエントリを書こうと思っていたら、
ずれ込みにずれ込んでしまいました。


風間直樹
『雇用融解~これが新しい「日本型雇用」なのか~』
東洋経済新報社




●あらすじ

主なトピックは以下のとおりです。

・製造業界での偽装請負
・外国人労働者
・フリーター
・個人請負
・ホワイトカラー・エグゼンプション
・医師・教師・介護師

どれもすごく重要なトピックであり、特に偽装請負や格差社会とかは色々と考えてみたいポイントが多いです。

ざっくりいうと、著者が色々な職場で虐げられている(*)労働者、特にブルーカラーの労働者に着目しつつ、今のニッポンの労働事情ってどうなのよ?と問う本です。

(*)虐げられているというよりも、制度的なアリ地獄(!?)にはまっている労働者という方が正確かもしれません。前回のエントリにちなめばキャピタライズされている階層、ということかもしれません。

●本が生まれたきかっけ

実はこの本で一番印象に残ったのが「あとがき」です。

もともと経済記者だった著者は、ITバブルにおいてもその競争力を維持して成長し続けたキャノンの秘密を探ろうとして、作業所に取材に行く。

キャノンは、「セル生産方式」にいち早く転換し、徹底した効率化の追求の結果、中国などとも争えるようになったことは有名な話だけど、彼の取材の目的はその「セル生産方式」を支えたスーパーマイスター(*)。

そんなキャノンを取材することによって、日本経済の再生のカギとなるべき企業のあり方をメッセージとして世に送り出すことが本来の目的だったのだと読み取れる。

(*)スーパーマイスターは、数万点に及ぶ製品を一人で組み立てる作業員のことです。スター選手!!

だけど、彼は、そんなスーパーマイスターの周りにいた男女に気付く。彼らはスーパーマイスターとは異なった作業服を着ていた。彼らにカメラを向けた著者に対してキャノンの担当者は撮影を止めるように制した。

「彼らは『他社の人』だから。人の撮影はキャノンの縦縞のユニフォームを着ている社員だけにして欲しい。」
(同書294頁)

と言われた。そこで、著者は「他社の人」という人が誰なのか?同世代でもあったこともあり強い関心を抱き、偽装請負の問題にたどり着く。これがきっかけとなった取材が、やがて、偽装請負を世に問う記事、「異形の帝国『クリスタル』の実像」(*)の記事につながっていくことになる。

(*)人材派遣会社クリスタルに関連する偽装請負の一連の問題を提起した記事です。結構波紋を呼んだと思います。ちなみに、クリスタルは、現在はグッドウィルグループの子会社です。


●セレンディピティとアルパイン

最初は日本経済の復興をテーマに取材するつもりが、そこで、ふと別のもっと大切なテーマを見つけてしまうこの過程ってセレンディピティといえるのかなー、と思いました。

セレンディピティ(*1)って、科学の世界でよく使われますが、単なる運じゃなくて、常にアンテナが張られていて、顕在化したほかの問題の兆候を鋭く察知する能力といわれていますよね。

(*1)セレンディピティ(英:serendipity)とは、「何かを探している時に、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉である。」とされています(wiki1月29日)。

そうやって気付いた問題点について、一気に駆け上り、問題を追求していく。
すごいムーブ。


あとがきによれば、新聞を中心とした報道機関の多くの取材方法は、登山に喩えると、「大量の人員・物資を動員して大規模集団戦でじっくりとしかし着実に頂上を目指す「局地法・包囲法」(同書296頁)であるのに対して、この企画に関する東洋経済の姿勢は「単独、または少人数が少量の装備、無酸素で一気に頂上を目指す「アルパイン・スタイル」」(同書296頁)に分かれるといいます。著者は、アルパインスタイルで一気に頂上までいってしまったんですね。すごい!


現在、日雇派遣に対する規制の議論や各業界における偽装請負が社会問題化していますが、その源流には、こうした若いジャーナリストの抱いた少しの疑問・発見とそれを追い求める強い正義感・ムーブがあったんだ、と感心。

こういったムーブ(問題点を発見し、一気に駆け上る。)すごく刺激になるなあ、とつくづく思います。
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by sipoftip | 2008-01-31 01:31 |

人をキャピタライズする/人にキャピタライズされる


人をキャピタライズする/人にキャピタライズされる、とは私の造語ですw

そもそも、キャピタライズ(Capitalize)にも色々な意味がありますが、ここでは、
Capitalize on ●●という表現を念頭においています。

●キャピタライズはどこでもありうる

すっと対応する日本語が思いつかないのですが、文脈によってはネガティブに使われます。「●●さんを犠牲にして利益を得る」、「●●さんにつけ込んでをだしにして利益を得る」というイメージでしょうか。

典型的には、職場ですごーい安月給で働かされている労働者は、雇用主にキャピタライズされているんだと思います。

こんな典型例でなくても、どんな職場だってキャピタライズは起こりえます。
たとえば、部下に何の見返りもなくつまらない仕事をたくさんさせて自分の名声を上げた上司、派遣さんに仕事を押し付けて早々に帰るお局さんなど、さまざまだと思います。または、下請けをさんざんいじめて利益を上げている会社もキャピタライズしてるといえると思います。

誰しも自分がいい思いをしたいし、利益を得たいから、その際に、つけ込むとは言わないまでも、相手方の利益を省みずに自分の利益を上げることに傾倒することがあるんじゃないかな。

もちろん、キャピタライズ、というコトバは美しい響きではなく、若干の後ろめたさを伴うものなので、公に肯定はされにくい、だけどどの組織にも多かれ少なかれ存在し、または存在しえるものだと思います。

●キャピタライズにどう対応するか?

キャピタライズといっても、あからさまな形をとることはありません。
それは上司の命令だったり、取引先の要求だったり、通常の行為と外見上は変わらないものの、よくメリットの分配を見てみると何か違う、というものだったりします。

もちろん、それが上司の命令である場合、組織で働く以上、先輩から与えられた仕事はちゃんとやらなければならないし、その対価としてオカネをもらっていることも事実です。取引の場合もしかり。だから、もちろん、ちゃんとやらなきゃいけない。

でも、「あの人(会社)にcapitalizeされたー」と思った瞬間に、もらっているオカネ以上の働きをするインセンティブが減殺されるのもまた事実です。特に、その職場で働く意義を、オカネでなく経験・成長のためと考えている人ほど、そういった傾向にあるのではないでしょうか(→というか自分がそう)。

ただ、そんな風に一方的にインセンティブが減殺されたままだとつまらない。
でも、常に抵抗するのも軋轢が生じる。じゃあ、対応策はないのか?

私が思うところは以下の2つ。

①対策その1→ポジティブに考える

それって、自分にも、何かに役立たないかなー、と考えることにしています。たとえば、つまらない仕事の場合。

具体的には、「将来自分が活躍している場面」をイメージして、そのとき振り返って今回の(つまらない)仕事がどう役に立っているかをイメージするのです。少しでも学べるところがあれば、
そんなつまらない仕事であっても、現在と未来がリンクする、そう思えることで、何とかインセンティブの低下を留めるように努めています。

②対策その2→毒を食えば皿まで?

相手の予測を超えた対応をしてみる。その上で相手とさらなる信頼関係の構築に努め、流れを変えてみる。自分を「キャピタライズするアウトソース先」以上のものと認識を変えさせると何かが起こるかも。(ただ、失敗すると単に利用されてしまうだけですし、相手にもよりますが・・・)

③対策その3→そういったボス・先輩を避ける

たぶんこれが一番効果的でしょう。だけど、すごい荒治療です。たとえば、上司の命令を聞かないと、組織への貢献ができないというレッテルが張られる可能性もあります。

・・・・難しいですね。もっといいTipsがあったら教えてください!


●キャピタライズのマネージ


逆に、自分よりも年次が低い人とか、地位がしたの人がいる限り、自分が相手をキャピタライズする可能性もあるわけです。

もちろん、自分の利益をほしいし、そのチャンス(=キャピタライズできる状況)にもある。

だけど、キャピタライズって、一方だけが得をする構造になっている。そうすると、チームとしてまとめらない。

かといって、たとえば、組織って、つまらない仕事もあるし、面倒な仕事もある(というかその方が多いケースが多い。)。

だから、自分のところにある、一見つまらないけど必要な仕事をどう振り分けるか、キャピタライズっていう現象をなくしつつ、どうマネージするかがかなり重要になってくるんじゃないかと思います。


自分は、あまり面白くない仕事とかを後輩に任せたり、面倒な仕事を秘書に頼むときは、彼らが何か学べるようなもの(自分の経験だったり派生知識だったり)をセットで提供するように心がけています。完全に手足として使われてキャピタライズされるよりも、もっと得るもの(takeaway)があった方が、みんなうれしいはず。そうすることで、できる限りWINWINの関係が築けるのではないかと。気づいてくれる後輩がどのくらいいるかわからないけど、そうやっていくことがいいチームを作るためのTipsの一つなのではないかと、そう信じています。これが今のところの結論。

んーー、「つまらないけど必要な仕事」についてキャピタライズな感じでなくさばくことって、実はすごく難しいテーマだと思うのです。

そして、組織の中で自然発生的に生じる「キャピタライズ」の欲求をどうマネージし、全体のチームをまとめ、個々に能力を発揮させるか、というのいは、組織をまわす上ですごく重要なテーマなんじゃないかな、なんて思うわけです。
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by sipoftip | 2008-01-30 20:36 | 雑感

レンガで頭を殴られたときに読み返すための備忘録~Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005~


以前の記事(UcBerkley雑感)にて紹介した2005年スタンフォード大学MBA卒業式でのスティーブジョブズのスピーチです。こちら↓をどうぞ。

Steve Jobs Stanford Commencement Speech 2005


以下の3部から構成されています。

①Connecting Dots(点をつなげる)
  色々な出来事を点にたとえた上で、先を見て点が繋がるかを知ることはできない、点が繋が  って道になるのは、後から過去を振り返っただけだ、だから、次の点が繋がって道になると   信じなければならない、という部分が個人的には大好きです。

  「これやっていくとつぶしがきくから」とか「とりあえず、みんなが言いといわれているから●に  なってみた(●してみた)」とかいう発想だと、そもそも自分が点をつなげて道を歩んでいると  いう発想からはかけ離れていますね。そういう生き方もありだとは思うけど、自分的には、な  るべく短い期間にとどめたいなあ、と。結構、いままでも右往左往していますが、今までを振  り返ると、道は繋がっていると信じています。

②Love and Loss(愛と喪失)
  一度、自分で起業した会社を追放されてから、やはりどうしてもやりたいといって、さらに再   度会社を立ち上げる原動力、そういうドライブに刺激を受けました。なぜか涙が出そうになっ  た(苦笑)。
   
③Death(死)
  死とは、誰しもが等しく直面する事実であり、必ずやってくる、だから、ハートと直感にしたが  う勇気を持つこと。これら(ハートと直感)は、本当に君が何になりたいか知っている。このほ  かのことは二の次でいい、というくだりが大好きです(*)。

(*)
"And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary. "


仕事でもそれ以外でも突然頭をレンガで殴られたアクシデントが起こると思いますが(*)、そういったときにこそ、このエントリを読み返そうと思います。

(*)"Sometimes life hits you in the head with a brick. Don't lose faith. "
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by sipoftip | 2008-01-27 17:35 | キャリア/コトバ/ロールモデル

正義とお金のオトナな関係



最近、ちょこちょこと弁護士になりたいとう学生とかに会うことがあります。その中には「人を助けたいから」、「人権のために」という人も結構多いように思います。それ自体はホントに素晴らしいと思うし、その想いは大切にして欲しい。

ただ、それについて思うところがあるので、ちょっと書いてみます。

●はじめてお金をいただく

それは確か秋が深まるくらいのことだったと思う。午後の早い時間に、当番弁護の呼び出しを受けた。お昼ごはんは、当番弁護士のマニュアルのようなものを再度読み返しながら済ませ、さらに、友人とかにも「当番行ってこうだったら、どうすればいいんだっけ?」ということを確認して
みたりした。

ただ、その時期は(その時期も?)、事務所の仕事がわりと切羽詰っていて、日中はそれに追われていたため、日中に接見に行くことはできなかった。それでも、まだ事務所に帰って片付けるべき仕事はたくさんあったのだけど、「当番弁護で呼び出しを受けたときは必ずその日に行く」という信条(というか常識?)のとおり、事務所を飛び出した。

再度、被疑者を最初に接見するときの説明事項や、ポイントなどを思い返しながら、電車に乗り込む。

そして、警察署にいって被疑者に会う。名前は、田中さん(当然仮名です!)。

「どうされましたか?」

「まさかこんなことになるとは思いませんでした。あれは三日前のことなんですが・・・」


そうやって田中さんは、捕まるきっかけになる事件の経緯、捕まってからのこと、捕まってから
いかに自分が不安かということ、家族のこと、会社のこと、そしてどうやったら出られるのかということ、せきを切ったように話し始めた。彼は、不当に長く捕まっていることや刑事さんたちが自分の納得いく対応をしてくれないことにすごく不安を感じており、またそのまま放置されることになっていた仕事や家族のことが心配でたまらないようだった。

田中さん、弁護士をつけるかどうかもちょっと迷っていたけど、やっぱり事がことなので依頼したいと意向を表明された。

事務所の仕事が結構立込んでいたのでちょっと迷ったが、何とか早く出してあげたい、との思いもあって、受任することにした。

いつもは事務所の仕事をして、事務所からお金をもらう。最終的な仕事の成果(プロダクト)は
パートナーのチェックが必要だし、いわば専門知識のあるサラリーマン。自分の仕事を自分が貰うお金が対価関係に立つことは十分意識していたけれども、お金と仕事の関係は間接的だった。

でも、この瞬間は違った。

「この人からお金をいただく。そして、その対価として弁護士として、つまり法律のプロとしてサービスを提供する。」


お金と自分の仕事があまりにもはっきりと目に見えるほど直接的だった。
背筋がピンと伸びた。

「お金をもらってやる以上、それに見合ったレベルのプロとしてのサービスをきちんと提供することが必要、それも自分の責任で。」


考えてみれば、すごく単純なことだ。でも、それはその単純さとは裏腹にすごい緊張感を伴う。
大げさに言えば、ポーンと一人で舞台に立たされたような感じかも。準備はできているのだけれど、広い舞台に突然立たされた感じだった。大都会の雑踏の一角で起きた小さな事件に
過ぎなかったけれど、そんな小さな世界であっても、それは僕にとって、すごく緊張感の伴った舞台だった。


誰かが言ってたっけか。弁護士って、事務所に入って数年働いても、ボスからは未熟者と見られることも多いかもしれない、だけど、世間の人から見れば一年目でも十年目であっても弁護士は弁護士だ、だから、弁護士は、通常の社会人と比べても、すごいスピードでプロとして振舞うことを求められる、と。


●正義のためにがんばってみる

高揚感もさることながら、早速作戦を練った。もちろん、事務所に帰ってたまっていた仕事を深夜まで片付けていたけれども。

その後は、その事件において弁護士としてできる限りのことをやったと思う。土曜日だった翌朝の朝からはじまった奥さんの携帯での質問攻め(*)の対応にはじまり、再度の接見、被害者との示談の段取り、検察官との交渉準備、記録の精査にはじまり、刑事弁護としてその事件でやるべきことはぜんぶちゃんとやったと思う。

(*)これはとても気持ちはよくわかります。

いろいろと司法試験や修習で勉強している知識があってこそ、今自分がどういう弁護をするためにそれを行っているかもちゃんと理屈をもって行動することができており、自分が勉強したことをこういった形で活かすことができていたのは嬉しかったし、何よりも、自分のやっていることによって、捕まっている人が早く社会復帰できて家族にも早くあえるんだと思うと、すごく小さな事件ではあったけれども、その中で小さな正義が実現されるような気がして、なかなかのものだった。

接見にも数日間のうちに、何度か行った。その度に家族の様子を聞かれたし、こちらからも、奥さんからの伝言も伝えたりした。

「この場所から早く出たい。何とかお願いします。このままずっとここにいると仕事もクビにならないか不安だし、いつまでここにいなきゃいけないかと思うと、とても不安です。」


会う度に、彼は僕にこう言っていた。その度に、いま手続きとしてはどの段階にいて、そこから早く出れるためにどのようなことをやっているか、それについての進捗状況の報告などをしていた。手続きなんかは、田中さんも最初の説明でわかっていたはずだけど、それでも不安だったようで、何度となく同じ質問し、僕はその同じ質問に何度も答えたりしていた。

事務所の仕事は、企業法務であり、それなりに面白くはあったけど、このような形でより具体的に正義が実現するような刑事事件は事務所の仕事とはちょっと趣が違っていた。



   *   *   *


最終的に、被害者とちゃんと示談もできたし、検事との面談もして、最終的に釈放にもっていくことができた。

その事件の事情から考えられる一番早いタイミングでの釈放だった。釈放の連絡が入ったとき、正直ほっとした。おそらく大丈夫だと思ったけれど、その大丈夫をより確実にするために、小さなことでもひとつひとつやってみた。感覚としては、「これだけやったから大丈夫だろう、そうであって欲しいけど結果が出るまでは不安」というテストの成績がよかったと知らせを受けるようなものに近かったかもしれない。

もちろん、事務所の仕事がたくさんあったし、釈放されればそのまま家に帰ることはでき、弁護士としての仕事はそれで終わりではあるのだが、田中さんが東京の地理に疎いということもあり、また、不安だから来て欲しいと言われたこともあり、警察署に迎えにいった。

警察署に着いたのは午後8時くらいだっただろうか。誰もいない待合所で待っていると田中さんが出てきた。それを見て立ち上がって、田中さんに近寄った。「出れましたね!かなり早く出れたし、よかったですね!」そういって、田中さんが拘置所の生活から解放されたときの喜びと安堵の顔を見て、握手し、家族にもよろしくお伝えください、といって、駅から送り出すんだろう、大袈裟だけど、小さな正義であっても実現してよかった、そう思いたい、そんな場面を頭の片隅にイメージしながら。でも、田中さんは僕を見るなり、こう言った。

「先生、報酬の件ですが、やっぱり減額してくれないかな。思ったよりも早く出れたみたいだし、意外と大したことない事件だったみたいだし。刑事さんも早く出れたんだから、弁護士報酬を減らしてもらえば、なんて言っていましたよ。」



   *   *   *


●正義は思っているほど無垢なものではない

この発言を聞いたときは、最初、耳を疑った。最初に「ありがとうございます」の一言もなく、いきなり報酬を減らしてくれとは。。。。小さな事件だけど、その中で被疑者がしかるべき待遇を保障され、小さくても正義が実現されるようにがんばっていると思っていたのは一人よがりだったのか。接見のときに先生しか頼りになる人がいませんといって感謝しているといってくれていた田中さんのコトバはいったいなんだったんだろうか、という思いが一瞬にして頭をよぎった。

たぶん、その日は特に事務所の仕事で疲れていたからかもしれないけど、すごく衝撃を受け、こたえたのを今でもはっきりと憶えている。そして、そのとき、小さな事件の中の小さな正義のなかではあるけれど、はじめて正義というものの知らなかった一面を見たような気がした。

正義のために働きたいと思う人の正義って、あくまで自分の脳の中に描かれているものに過ぎない。

正義のために働きたいと思って、プロとして働くと、必ずお金が絡んでくる。プロだからお金が絡んでくるのは当然であり、むしろそうあるべきだと思うけれど、そうなることで、必ず緊張関係が生まれる。そんな緊張関係があるから、正義って、実は思っているほど無垢でもない。無条件に心をオープンにして、手放しで喜んでいると、僕みたいに後ろから刺されることもある。小さな事件だったから、刺された僕の傷も小さなものにとどまることができたけど、常にそうでもないはず。もっと大きな傷を負っている弁護士も数知れずいると思う。

ここで書いたことはすごく当たり前だけど、ついつい忘れてしまいがちなこと、それは理想が高い人にこそ起こりうるのかもしれない。

単に自分が実現したい正義、つまり、自分の脳の中に描かれている正義を実現したいのであれば、ボランティアになったほうがいいかもしれない。また、正義とお金の緊張関係がそこまで直接的ではない、公務員とかの方が仕事の意義を無条件に喜べるかもしれない(*)。

(*)もっとも、公務員も、税金を使っている以上、本質的には緊張関係があるはずですが、弁護士ほどリアルに直接的ではないかな、というくらいの意味です。

昔思っていたほど正義とは無垢なものではなく、正義とお金って、もっともっとオトナな関係なんだな、と感じたのです。

(*)もちろん、弁護士報酬が普通の人にとっては安くないものであることは認識していますし、田中さんの方からすれば、自分が捕まっており、その中で色々やってくれて(拘置所から)出してくれたけれど、やはり支払いは安くとどめたい、という気持ちも(田中さんの立場に立ってみれば)わからんでもないです。田中さんの視点から見たこの事件のストーリーはひょっとするともっと違ったものなのかもしれません。だから、別にこのエントリは、田中さんを非難するものでも否定することを意図したものでもありません。むしろその発言を所与の前提として、背景にあるものをみてみる、ということに主眼があります。
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by sipoftip | 2008-01-22 03:14 | 法律

朝、それはとても慌しい、特に今日は・・・




昨晩は結構忙しく、当然タクシーで帰り、
何とか夜中の3時くらいに寝ました。

******



今朝、わりと爽やかな目覚め。


おきたら目の先には、いつも見える茶色のカーテン。

その間からは既に日の光が差していた。




体を伸ばす。んーーーと。ちょっと寝てしまったけれど、ちょっと体力が回復できた、
わりといい感じの目覚め♪

(^^)//////////









しかし、時計を見たら・・・・・・10時!!











ふと、今日のスケジュールを思い出す。








なんと朝の10時からクライアントとの会議じゃあないか!








・・・・・・・・・(++;)







しかも、一緒に会議に入るパートナーは結構キビシメのK先生。








・・・・・・・・・(++;)(++;)








背筋が寒くなる・・・・・













・・・・・・・・・(++;)(++;)(++;)












「あー、今からタクシーでも間に合わないなー、やばっ!!」










・・・・・・・・(><)













家と事務所は近いので、頑張ってタクれば、10時20分には
着くだろう。







でも、会議に遅刻して入っても大丈夫だろうか。


















どう言い訳しよう。あたかも緊急の電話が入って会議にとりあえずパートナー
だけ出席してもらったということにしようか。ますます焦ってきた。




きっと、何とか取り繕って会議にはいって、会議では笑顔のK先生も、
クライアントをエレベーターに送り出した後、、とたんに表情が変わるのだろう・・・・









ああ、もっとキビシイのは、もうこの一発で「だめ」の烙印を押されてしまうこと・・・・・






んーーー








でも、まーもう遅いよね、なるようになるさ、というあきらめモードも頭をもたげはじめる(楽観主義w)。













(0o0)/////












それにしても、会議終了後にはK先生に合わせる顔がない・・・・
んーーー。確実に説教だな。まだ説教されたことないけれど、結構キビシイと聞くし。
















ああ、きっと重くてきまずい空気が流れるんだろうなあ・・・・







いつになく、僕の想像力はたくましくあり得るシナリオをイメージする。


それも、何パターンも・・・・













(U0U)。。。。。。。。。。。













K先生のことを考えると一瞬身が引き締まる。















・・・・・・・・・・(-__-#####) 
















まるで、注射をされるときに、一瞬体を硬くしてしまうように、これから起こる事態に
対して体が反応している。














・・・・・・・・・・(++;)(++;)(++;)(++;)(++;)



















・・・・・・・・・・・・・・・・・このとき目覚めました。




もう一度まったく同じ光景


「おきたら目の先には、いつも見える茶色のカーテン。

その間からは既に日の光が差していた・・・・(以下省略)」






「はっ!!」として時計を見たら、8時半。

というか、今日の朝、会議ないし!!!





いやーーー!自分がベッドから起きるシーンが夢に出るって
めちゃくちゃリアルですね!紛らわしすぎる!




そんな風に慌しく(???)始まった今日の一日でしたw
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by sipoftip | 2008-01-16 18:38 | 雑感

人との出会いに多謝



●Luckly enough、金曜日、土曜日と国際協力の分野に興味のある人が集うオフ会(gathering?)のようなものに参加する機会がありました。外交官を含む官庁の方、国連職員(国際機関の勤務経験者を含む。)、銀行員、研究者、学生などわりといろいろなフィールドからいらしていましが、広い意味で共通の関心があるという点で(勝手に)親近感が沸いてしまう(++:)

分野は違えど、お会いした方が①どうやって国際協力に興味を持ち、②その興味を実現させるためにどのような意思決定を行ってきたか(またそのためにどのようなスキルを身につけたか)、③かつての希望と現状のギャップ、④将来の展望、を中心に時間のある限り、聞かせて頂きました。

いろいろなコトバも頂いたし、それなりの収穫(takeaway)があったと思いますので、忘れないうちに(?)、今度別の機会にアップします。

●最近、色々な人にキャリア相談を(勝手に)持ちかけています。

その中で外国人でキャリアのある人(主に弁護士ですが・・・)からのフィードバックが
非常に興味深いです。

彼らは、こちらが投げたストレートなボールにまっすぐ打ち返してくれます。しかも、バックグラウンドが違う分、フィードバックも面白い。ある程度、グローバルな評価基準に合う人間になるためにどうしましょ?と考えるにあたって、彼等の意見はすごい貴重だと改めて思います。

おそらくそういったディープな(というか中身のある)相談を持ちかける日本人が彼等の周りに少ないのか、ずいぶんと距離が縮まった気がします。まったくの主観ですが、そういったキャリア相談とか(その他の個人的相談も含む、笑)。真剣なステップイン(*1)について、それなりに真剣なレスポンスをしてくれて、それでおたがいの世界にステップインするということを好意的に受け止めてくれ、むしろ歓迎するという人が多いかも、と思いました。

(*1)以前の記事に書いた、「a walk into your life」のようなもステップインに入るイメージです。

●先日、ある人から

「一人で迷っているよりも人に話したほうが頭の中が整理されてきますし、自己暗示がかかるのかなぜか自信もついてきますよ。」


というコトバを頂きました。確かに、自分で考えたキャリアプランを(悩みを含めて)アウトプットすることで、ある程度客観的な批判に耐えうる実現可能性があるものに、磨き上がっていくのではないかと思います。こうやって、みなさんの頭脳を借り、みなさんの少しの時間を借りることでみんなから助けられている、自分も多くの人から(ある意味で)支えられているんだなあ、と思っいます。


●逆に、自分もそうやって悩める人(?)がヒントを求めてきたときには、(おこがましくも)何かインスピレーションの種になるものをあげることはできないか、考えています。有益なアドバイスを上げられるとすれば、せいぜい、高校留学やロースクール(恋愛相談もOK。いや微妙か、笑)くらいですが、そうやって支えられつつ、支えつつ、そういった循環を大切にしていきたいなあ、と思う日曜の午後でした。

(ひとまずおしまい)
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by sipoftip | 2008-01-13 13:24 | キャリア/コトバ/ロールモデル

お互いにすごく好きだけど、本質的に求めているものが違う~Leaving Microsoft to Change the World①~



今読んでいる本(の一つ)です↓。

Leaving Microsoft to Change the World:
An Entreprenuer's Odyssey to Educate the Worlds's Children

(邦題:マイクロソフトでは出会えなかった天職~僕はこうして社会的起業家になった~)


●あらすじ

著者(ジョン)は、金融機関(コンチネンタル銀行)に勤めた後に、ケロッグ(ノースウェスタン大学のMBA。名門です!)でMBAをとり、その後マイクロソフトで海外事業部の駐在(Expat)なエグゼクティブとして国際ビジネスを舞台に活躍していた(元)エリートです。でも、休暇中で見たネパールの子供達の教育の状況、特に教育に必要な本と識字率の低さに衝撃を憶え、マイクロソフトを飛び出し、NPO(「ルーム・トゥー・リード」)を立ち上げるという実話です。

おそらく子供用に書かれたのかもしれない。
日本語も平易だし、きっと英語もそうだと思います。
でも、自分にとって極めて重要なテーマが色々書かれています。
面白すぎます。今日も、自宅から職場まで二駅なのに、本を読んでて電車を乗り過ごしてしまった(**;)

ちなみに、「勝負に勝つチカラ」というのも、この本を読んでいて、がらっと勝負のフィールドを変えた著者(ジョン)のことが頭の片隅にあってしたエントリでした。


●恋人と自分

著者は、マイクロソフト時代、オーストラリアに駐在しつつ、マイクロソフトの中国や東アジアへの事業展開に携わるエグゼクティブとして、(マイクロソフトの費用で)高級マンションに住み、専属運転手が毎日送り迎えをし、高給をもらう、いわばセレブ?的な生活を送っていました。

また、彼には、美人(?と思われる)恋人のソフィーがいました。ソフィーも、広告代理店で働くばりばりのキャリアウーマンで、彼曰く「いままでのガールフレンドから自分は冷たいと
言われることが多かった」と言われることが多かったのに、今回のソフィーについては、自分がとてもオープンでいられることができたし、とても好きだったとのことです。ソフィーが中国部門の担当になり、オーストラリアに住むことになったから、著者も一緒にオーストラリアへの部署に転勤願いを出して、上記海外事業部のポジションに移ったとのこと。二人でいろいろな事を一緒にやったし、とても素敵なカップルだったと。お互いとても好きだったと。

だけど、お互い求めているものが違ったようです。

ソフィーは、休暇はリゾートのフォーシーズンズホテルでゆっくりと優雅に楽しむことが好きだったそうです。もともとアメリカ中部の出身で今の地位にたどり着くまでに必死に勉強して、働いて、やっと今の地位を手に入れており、たっぷり給料をもらって、専属運転手や家政婦をつかって楽しく暮らし、ロンドン、パリといった大都会での豪華な暮らしに憧れて止まない人だったようです。

これに対して、著者は、ネパールのヒマラヤでトレッキングをすることからも分かるように、途上国などをバックパックで回ったり、アドベンチャーが大好きだということです。

そして、ソフィーは、著者が情熱を感じるバックパックとかそういったものに何らの興味を示さない。毎日エグゼクティブとしてビジネスに忙殺される日々においては、そんな違いも表立たなかったようですが、いざ彼が仕事を辞めようとしたときに、その違いがゆっくりと、だけど確実に二人の仲を裂いていきます。

二人の溝が徐々に深まるシーン(60ページ)は印象的でした(「 」は同ページからの引用)。



ネパールの旅行から帰ってきて、やはりマイクロソフトを辞めて、ネパールの子供達の教育に役立つような選択をしよう!、というワクワクとして帰ってきた場面。

「外国人専用アパートの広い部屋にはいると、ソフィが全身で僕を抱きしめてキスをした。青い瞳が「お帰りなさい!」と輝いている。」


そんなソフィーが自慢の手料理を著者のために作って、著者の好きなワインを空け、帰宅を喜んでいるのをみて、著者は、そんなソフィにマイクロソフトを辞めてNPOをやる、ということを述べなければならないことを考え、


「けれど、二人待っているディナーの会話を思うと胃が張り裂けそうだった」


と書いています。ソフィは、著者のことを大好きだった。そんなソフィは、

「ジョン、あなたは好きなだけネパールに行っていいのよ。あなたが帰ってくるときはちゃんと家でまっているから。でも、わかるでしょう。私はトレッキングはしたくないし、寝袋で寝ることが素晴らしいバカンスだとも、特別にロマンチックだとも思わないの。だから、もしネパールにいくのなら、タイのビーチに行くぶんの休暇も残しておいてね。」


というコトバをいいます。ソフィがとても著者を大好きなことがよく伝わります。二人の求めているものが本質的に違うことがわかるだけに、そのソフィの思いもとても切ないものにおもえます。


「僕が帰ってきてうれしいと、ソフィがこの夜三回目のせりふをくり返し、僕はわれに帰った。熱々のエンチラーダをよそってもらいながら、おそるおそる例の話題を切り出した」
・・・


そう、著者は、マイクロソフトを辞めようということをソフィに話します。

「僕は、地位もキャリアも、もう自分にとってたいしたことではないと話した。何かが僕の中で変わったんだ、その思いに忠実でありたいんだ」

「僕たちは静かなディナーをつづけた」





すごく印象的な場面でした。お互いに本当に好きなのに、それぞれの人生に求めるものが本質的に違っていると、こういう結果にもなるのだと。

そういえば、噂だとタイガーウッズが彼女と別れたのもこんな原因だったとか・・・


すごく好きな人がいると、その人も重要な人生の一部になるけれども、その一方で自分が人生で求めるものは譲れない。

そこに本質的な差異があるときに、すべてをワークさせることはできないのだろうか、すごく難しいけど、何とかならないかとの思いを禁じることはできません。




ある友人の結婚式に行ったとき、かなり印象に残った最後の新郎のコトバ

「僕は、この式をご覧頂いてもわかるとおり、自分が大好きな人間です。でも、自分より好きな人を見つけました。一緒に生きていきたいと思います。」


このコトバはちょっと感動しました。でも、さて、このコトバ、今まで述べたテーマとすごく絡み合うと思うのです。でも、そこまで好きになったのに、本質的に人生に求めているものが違うと言うことが分かってしまった場合、ヒトはどういった行動をとるのだろうかと。何とも・・・うまくまとまらないまま、(その1)のエントリを終わります。

((その2)につづく)
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by sipoftip | 2008-01-11 03:40 |

勝負に勝つチカラ



ずいぶんと大上段の抽象論なのは重々承知です(笑)。

でも、「格差社会」と呼ばれ、あらゆるところで競争があるし、知らない間にそういった競争のレールの上に載せられて、気づいたら闘っているような人も多いのではないでしょうか。だからといって、負けたら困るから闘うことをなかなかやめられない、こうやって膨大なエネルギーを使っているようなことも結構あるかな、と思ったので、雑感をまとめてみました。

●なぜ勝ちたいのか?

単純です。勝つことは楽しいし、気持ちいい。
欲望も満たされます。僕も勝つのは好きです。少なくとも悪い気はしない。

ひょっとすると、人間って、生物学的に、ドミナントである状態で
快楽を感じるように設計されているのかもしれません(*1)

(*1)そうやって、勝つことに快楽というご褒美があると、よりドミナントであるように行動し、その結果、生存するというメカニズムかも知れません。まったく根拠はありませんがw


●自分へのヒトコト

・そのフィールドで勝つことで本当に快楽が得られるのか?そこへのイメージが足りないと、コミットメントで他の人に負けてしまう。逆に、そんなコミットメントができないうような場所で勝負をしているのであれば、それはそれで要注意

勝負をするとしても、スポーツと違ってフィールドは選べる。いわば会社がドメイン(事業領域)を確定するかのように、主体的に勝負の場を設定しなくては。

・勝負自体を楽しんでいるか?長いゲーム、心持ちの違いは大きな差を生む。まして、人生っている勝負(ゲーム!?)のプロセス自体を楽しんでいない場合、人生のほとんどを楽しんでないことになる。だって、一回勝っても、次の瞬間から次の勝負のレースは始まっているのだから。

・最終的な勝ち負けは、どれだけ楽しんだか、どれだけ快楽を得たかできまる。その意味で、必ずしも点数の高い方が勝ちとは限らない。

・勝負の目的が生存であれば、勝つ必要がある。でも、生存できている以上、勝負の目的は快楽にある。そうすると、勝負をしなくても快楽を得られるか、という点も踏まえ、自分は勝負をするという選択をしている、という自分のポジションに自覚的であるべき。

・本当にその勝ちをとりにいくだけの犠牲を払いたいか?勝ったときにたどり着けると思った場所は、たどり着いてみると全然違うこともある。注意注意

うーん、たぶん勝負に勝つチカラのヒントはこのなかに隠れているはず(##;)

(おしまい)
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by sipoftip | 2008-01-10 02:03 | 雑感

夫が夕食を作る家庭~アメリカの家族を垣間見て②~



今回は、ホームステイ開始直後に新鮮な驚きを憶えた夫婦の日常について
書いてみます。


●夕食の準備はDadがする

ホストファザーは、職場(地元の公立高校)の終了後、でかいスーパーでその日の食料を買ってきて、6時前には帰宅します。そして、ざっざっとスナックをかじったあと、夕食の準備にかかります。イタリアンな彼は、その父親の血を引いていることを誇りに思っていることもあり、週3くらいでパスタを作ったりします。あとは、週1でメキシカン、週1で頑張ってチャイニーズに挑戦してみたり、その他色々というところでしょうか。

キッチンのなかなかこっていました。バックヤード(裏庭)を見渡せる形で8畳くらいのスペースがキッチンになっていて、部屋の角にあるシンクの右を向けばミキサー、左を向けばガス、オーブン、そしてコーヒーメーカーがあります。後ろを向くと一畳分くらいの広さの高さが腰くらいまである台があって、その台の上には数限りないフライパンなどの調理器具がつる下がっています。これは通称「アイランド」と呼ばれてました。島みたいだから。

パスタの場合:
・オードブル:ブルスケッタ
(→フランスパンにトマトとモッツァレラチーズを乗せてExオリーブオイルかけてオーブンで焼く。 マジ旨い)
・サラダ
・パスタ
・これに調子がいいと、カジキを焼いてみたり、適当に野菜もう一品付いたり。

部活とかがないときは、僕も6時くらいに帰宅して、(家の前のバスケットボールで遊んでから→これ重要)Dadの料理を手伝っていました。「キミは僕の料理を手伝ってくれるはじめての留学生だよー」とか言われながら、最初のつかみは料理でOKでした。日本ではほぼ手伝ったことなかった気がしますが。ソトズラは良いのでw

でも、料理を一緒に作りながら、今日は学校で何があったとか、日本の食事はこうだとか、いまは何がはやっているだとか、そういう話をするのです。これって、通常は、家庭的な女の子とお母さんのような交流かも。今思えば(笑)。


●Momの帰宅は7時過ぎ

だいたいMomは仕事を抱えて帰ってきます。そうすると、Dadが「ハイ!ハニー、お疲れさま!」みたいな感じで迎えます。そして、すかさず、オードブル的な一品+ワイン(だいたいシャルドネ)を差し出します。それをつまみつつ、Momを交えて今日学校でこんなことがあったとか、職場では大変だとか、いろいろはオハナシタイム。そういってるうちに、ホストファザーが「じゃあ、そろそろパスタをゆで始めようか」とかいって、ディナーのセットをはじめます。

その間が僕とホストマザーの団らんの時間。そして、しばらくすると、リビングからダイニングに移り、ディナーの準備ができ、そこで食事をします。ホストファザーが牧師だったこともあり、必ずお祈りをしてました。


これって、すごいホスピタリティ(!?)。日本だと、サラリーマンのお父さんが帰ってきて「お風呂にする?ご飯にする?」と聞く場面が典型的かと思いますが、これが完全に逆転している。すごく最初は違和感を憶えました。でも、二人を見ていると、キャラ的には適材適所で、別にホストマザーの方が稼ぐからホストファザーは「なんかつまらない」とかいう変なプライドもない。そう、そういった変なプライドや固定観念から気持ちいいくらい一歩ぬきんでています。これって
簡単なようでなかなかできない。つまらないことだとは分かっていても。


いま考えると結構セレブかも。決して金持ちではなく、多分、普通よりちょっと(UpperMiddleくらい)の豊かさのはずなのですが、ずいぶんと(精神的な)QOLが高いように思います。いまだったら、こういったホストファザーみたいなタイプが実は一番持てるのかも知れません。うーむ、彼はそんなに時代を先取りしていたのか・・・・w

しかも、お互い一度ずつ離婚歴もあり、30代後半から40代に再婚してこういった夫婦生活を築き上げたのは結構素敵なコトなのではないかと思うのです。これは10年前の話なのですが、日本も徐々にこういった家庭も増えていくのかなあ、と。(僕が知らないだけかも知れませんが。)


ちなみに、夕食後の片づけはみんなでやり、その後、僕は宿題、ホストマザーは仕事(or読書)、ホストファザーはテレビ(笑)という流れでした。

●私だって料理できるもん!的な感覚

ただ、ホストマザーは「私だって仕事じゃなく料理もできるのよ!」ということにプライド(?)をもっており、また良きママであるためにも(?)、週末には結構料理を作っていました。あとはThanksgivingなどの特別なときとかにも腕をふるっていました。特に前夫に引き取られた息子がやってくる週末には結構料理をしてました。ほほえましい(とともに切ない(><)


ホストマザーが稼ぎ、日々の料理はホストファザーがやる(掃除はきれい好きなホストマザー、ホストファザーは掃除が苦手だった)、そして、単にキャリアウーマンとしてだけでなく、良き女性、良きママであるために、自分で料理もするし、何でも頑張ってました。

E-Bayの女性CEOのインタビューとか聞いても、キャリアも家庭もすべてあってこそ女性として一流、みたいな感じだったし、その他の(スーパー)キャリアウーマンがロールモデルなのかもしれません。

(本人達ははからずも)なんかすごーく時代を先取りしていた夫婦じゃないかなと思うのです。示唆の多い。とりあえず、料理できるようになろっと、なんてw
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by sipoftip | 2008-01-08 02:57 | AFS留学

はじめに~アメリカの家族を垣間見て①~



高校時代にアメリカに留学していたとき、ホームステイをしていました。
構成員は、ホストファーザー、ホストマーザー、シドニー(犬)、チェルシー(犬)w

●ホストマザー紹介

ホストマザーは(知る人ぞ知る)某大学のアドミッションオフィスに勤務していました。幾通ものレジュメを読み大学にふさわしい人物を選別しつつ、将来の人材確保のために世界中から良い学生をリクルートするという職業です。大学といっても、授業を受け持つソフト面を担当する教授陣のほかに、アドミニストレーションを担当する機能がしっかりと役割分担をされている印象を受けました。本来は学術において本領を発揮すべき教授陣がちゃんと学問に専念できるようにこのような機能が充実していたのかもしれません。

ホストマーザーは、NY州の出身で、音楽家の家系に育ち、いわゆる教養ある育ちのいい感じの女性でした。家系には、親戚にオペラ座の怪人の歌手がいるくらい!一族には指揮者とかもいたりする。結構すごい!ウィットに富む知的な女性です。状況を察する力もありますし、他人を気遣う心もある、尊敬していますし、どちらかといえば、ホストファザーよりも良くできた人と言えばそうかもしれませんw

●ホストファザー紹介

ホストファーザーは、高校のキャリアカウンセラー、つまり、高校生の進路相談やその進路に
進むためにはどの授業をとるべきか、また、どの大学を目指すべきかなどのキャリアカウンセリングを一気に引き受ける仕事をしていました。そう、日本の高校では担任の先生がやるような仕事も、アウトソースされているのは新鮮でした。

イタリア系の血を引くホストマザーは陽気で、easy goingで、おおざっぱ。
アメフトをはじめとするスポーツをこよなく愛し、クリスマスの飾り付けでは近所に絶対に負けないと気合いを入れ、近所の庭と比べて自分の芝が長いとすぐに芝を刈る。孫の誕生日にはディズニーをプレゼントし、夜中にはソファーに寝っ転がって映画・テレビを見るといういわゆる典型的なアメリカ人でした。

もっとも、ホストマザーと出会ってからは、クラシックやオペラも聴くようになり、ファミリー行事として月に一回Opera又はクラシックを聴いて、その後、良いレストランで食事をする、なんていう洒落た企画もありました。そのときは、スーツを着ることが求められ、高校生ながらに新鮮だったのを憶えています。

離婚後シングルになったところ、ある教育関係のコンファレンスでホストマザーと出会い、恋に落ち、その後、ホストマザーと結婚したそうですがw、随分と影響を受けたようです。この月一のイベントもそう。

ただ、ホストマザーと出会い、教養がUPした彼ですが、ホストマザーが出張に出かけると、「今日はママがいない!肉を食べに行こう!」といって、TONY ROMA(注:スペアリブが有名なお店)に行ってがつがつ二人でスペアリブを食ってましたw普段、ホストマザーとレストランに行くと、「僕はコブサラダでいいから!」とか言ってみたりして、結構お茶目なパパでした。

彼はもともと超ステレオタイプに典型的な家庭で育っています。イメージとしてはお父さんはGMの工場で働き、高校時代は格好つけてアメフトをやりつつ、さほど成績は優秀ではないものの、ふつーに卒業し、大学では学生結婚をした感じ。

どちらかといえばブルーカラーですが、その後、(奮起し?)教育と宗教で修士号をとって、今の職業に至っています。その前には、牧師をしていたり、大学で講師をしていたり、結構さまざまな修羅場をくぐり抜けてきた人で、人間っぽい愛らしさがあるパパでした。

10年前の経験となりますが、そんなアメリカでのホームステイの体験を題材にして、ファミリー的なトピックをいくつかエントリしてみたいと思います。

(つづく)
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by sipoftip | 2008-01-07 02:03 | AFS留学