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アイドリング+アメトムチと裸+AKY~6月8日~




なんとなく、その辺にいるおじさん、しかも、酒を飲むとちょっとすぐに赤くなりそうな感じ・・・(??)




スピーカーの台に立つ。寝ぐせ??




ちょっとふらふら?しているかも?




ゆっくりと話し始める。



ちょっとおどけて見つつ(?)、


「スタンフォードは入るのは難しいけど、出るのはわりと簡単で、そりゃ素晴らしいゴルフ場があるもんだからね、ゴルフ三昧だったですよ~、そりゃさあ、勉強なんてしないよね。」


「帰ってきたら自分の会社がつぶれそうで、コンサルティング会社だから普段は他の会社のキャッシュフローが云々言っているのに、まったく恥ずかしい限りですよねえ、まったく。」




みたいな感じの話が続いた。



・・・・・・・・・・・・うーん、拍子抜け??


「泣く子も黙る」というイメージがあったので、はて、このままふにゃふにゃが続くのかなあ。

大変・・・・・・・・たいへん・・・・恐縮ですが(++;)、これが産業再生機構の元CEO、富山氏
のスピーチに対する第一印象でした。

少しばかり、ゆるーい、聞きやすい話が続く。

誰でも表情を少し緩めるくらいのささやかなオハナシ。


***


徐々に本題に入るのがわかる。すーっと、でも、ぐんぐんと本題に入っていった。
気づいたときには懐に入られている、という表現が適切かもしれない。

主に話されたテーマは、リーダーシップと経営について。だいたい↓こんな感じの内容だったと思う。



人の心はお金で買うのではなく、人望で買う。その方が買われた方も幸せだ。


なるほど。氏いわく、まだ日本から世界を席巻する新興企業がほとんど出ていない、
海外に出ると、20代、30代からばんばんと(中間管理職ではなく)マネージメント職に起用して鍛える。

でも、多くの日本の企業においては、年功序列等のシステムの結果として、
マネージメントのポジションにつけるのは、40代、ときには50代なんてこともある。
だから、他の国の人々と実戦経験が違う、そういった要素もあるかもしれない、という趣旨のことを言っていた。

そんな中、日本人も真のリーダーシップを目指すべき、とお話されていた。確かに、日本でも
楽天とかmixiとかも成功例とされているけど、amazonやGoogleみたいに「世界を席捲」しているわけではないよなあ、ということは思っていたし、この間、某コンサルの人とランチをしたときにもちょうど話したテーマだった。

「それではおっしゃられている真のリーダーシップってどのようなものですか?」という質問があったところ、

「例えば、あなたがアメとムチを持っていたとする。それを駆使して周りの人を動かしたりマネージするのは真のリーダーシップとはいえない。それは人の心をアメやムチで買っているのと同じ。もしあなたがそのアメとムチを手放したとき、それでもあなたがどれだけの人を惹きつけられるか。それが本当のリーダーシップだと思う。」


なるほど。かなり恋愛に似ているな、なんて思ってみたり(++;)。


***


さらにスピーチは続く。


経営って、理論では説明のつかない、すごく人間的な側面がある。

もちろん、いろいろ定量的に分析したり、そういったスキルが発展してきて、それも大切だけど、
それだけで経営ができるようならドラッカーの本なんて売れない。

株主になったから何でもできると思った人もいるみたい。村上くんとかも走だったと思う。でも、実際は何もできませんよ。機構は再生の際に株主になり、その瞬間、会社の持ち主になる。でも、実際、多くの企業において、誰が株主かなんて、現場で働いている人にとってははっきりいってどうでもいい場合が多いんですね。自分が首になるかどうか、もっといい働き口があるかどうか、給料はどうなるのか、そういったことの方がよっぽど心配。

化粧品会社のときもそう。高いお金を出してその会社の株を買ったとして、その価値は何ですか?そう、化粧品会社の事業価値は現場で働く7000人の美容部員のお姉さんたち。現に、その会社の価値は現場にいる7000人のお姉さんたちに大きく依存していたと思うし、僕もそれを信じて疑わなかった。

会社を買った瞬間に「株主だぞ」ってふんぞりかえった瞬間に回りは離れていく。

僕は考えた。株主になったこと自体は、7000人のお姉さんたちも注目しているはず。僕の一挙手一投足も耳をだんぼのようにして聞いているに違いない、と。その日から、僕はたとえ記者一人と話すときでも、その後ろには7000人のお姉さんが聞いていると思って、一言一言をしゃべっていた。

僕にはもちろん20代前半のお姉さんたちが何を考えているかなんて、わからない。でも、僕なりに、彼女たちだったらどう考え、僕らの行動がどうやって彼女たちの目に映るだろうかということは真剣に考えた。そして、いかに事業価値に中核をなす彼女たちに訴えるか、そういうことを念頭において再生業務の指揮をとっていたんです。

数多くの会社の再建に携わっていくなかでは、いろいろな人を相手にする場面に遭遇する。そんななか、会社を経営することで、さまざまな人の人生に影響を与えることになってきたし、それだからこそ、感謝されると嬉しい。これは経営の醍醐味の一つだと思う。少なくとも僕はそう思って経営に携わってきた。もちろん、僕だって、さまざまなドロドロの場面に遭遇したり、修羅場を潜り抜けてきたから、別にまったくの綺麗ごとを言うつもりはない。だけど、そういうものも含めて、僕の今までのマネジメントのキャリアを振り返って、何が残るのかな、と振り返ると結局、そういうことなんだと思う。

もちろん、ちょっと起業して、ちょっと成功して、田園調布にフェラーリを買うのもいいかもしれない。ITバブルのときにそういったちょっとした起業家は多かった。でも、僕がマネジメントに携わっていくなかでは、そういうことよりももっと大切なことがあったし、君たちもそうであってほしいと思う。



わお。惹き込まれました。1週間ほど経ち、記憶が完全に残っているうわけではないけど、話の内容は、上記の筋だったと思います。

ちなみに、マネジメントのエリートになっても最終的に相手にするのはありとあらゆる人間であって、エリートな世界に生きるわけではない、これは法律家になる人に向けて司法研修所が放つメッセージにも似ているかも。別に司法試験に受かったからエリート気取りするんじゃなくて、一度法律家として社会に戻れば、そこにはさまざまな人と出会う場面がある、そういった広い世界、ある意味でどろどろした世界で活躍できるような資質を持ってほしい、研修所の教官たちのメッセージの中にはそんなものが様々な場面で見え隠れしていました。ちょっと似ているなあ。

渉外事務所に入る人には、自分は頭のいいビジネスマンとかとだけ仕事をするような環境がよくて、あまり一般の人と仕事するのはいや、という発想をする人が少なくないような印象をたまーに持ちます。僕自身は特にそのような考えはなく、むしろ、頭のいいビジネスマンにも耐えうるサービスを提供できるくらいの能力はほしいものの、世界が狭まるのはいやだなあ、と考えるタイプ(・・)

***************

PS

経営の他、こんな話も↓

最近、よく「YK」というコトバを耳にする。

でも、アメリカとかに行くと、みんなKYだらけ。例えば、すっごく偉い人の前で、「えー!それ!?」っていう質問とかしちゃうやつもいる。しかも、そんな奴でも「お前、良く聞いた!」なんて仲間からほめられたりする、そんな文化。

そもそもKYであることに対して、臆病すぎないか?
本当にとるべきリスクはとるべきだし、そこにはみんながどう考えているかというよりも重要な問題がある。そこで、提唱したい。「あえて空気を読まない」ことを。これを「AKY」という、みんな留学されてもAKYになって、積極的になってください


以上がスピーチの一コマ。

確かに、最近「KY」というコトバがはやっているけど、これを英語にすると、どうも訳語は思いつかない。氏によれば、その概念に対応する訳語はないという。

「KY」について。「空気を読む」とは、「みんなの中で掲載された暗黙の価値観を前提して、いずれの方向に進むか、いずれの方向の意見が望ましいとみんなが考えているか、を理解したうえで、その期待に応えること」と言い換えることができるかもしれない。

でも、「空気を読む」って、みんなが暗黙の価値観を共有していることを前提としている。でも、そうじゃない。みんな違うはず。特に国際舞台ではそうだろう。さらに、別に国際舞台に限らなくても、みんな持っている前提は違う。だから、KY論とは、各人の前提は必ずしも同じではない、というテーマをすっとばした乱暴な議論にすら聞こえてくるのだ。

さらにいうと、「空気を読むこと」によって、ときとして、自分の最終的な意思判断とかPrincipleを犠牲にすることもあるように思える。

もちろん、みんなの思惑を理解することはすごく重要で、その意味で「空気を読む」ことはすごく大切と思う。でも、「空気を読み切った」上で、なお自分の価値観や希望に照らして妥協ができないか場合もあるはず。この場合、「あえて空気を読まない」ことも必要かもしれない。

あえて欲を言えば、AKYよりも、空気を読みつつも、みんなの思惑と違う方向に結論を誘導できる方がスマートと僕は思う。だってみんな的に「空気を読めている」と思わせつつ、自分の思うところに誘導してしまうんだから。これが最適解だろう、でも実現するのはときとして、難しい、だからAKYであることも必要かも。

最近、KYというコトバが濫用されているように思われるのですが、氏の指摘を含め、思うところがありました。


***

PSのPS

特に目からウロコだったのが、最初のアイドリング。最初におどけた?話題で筋肉の緊張を緩ませつつ、ゆっくりと、しっかりとメッセージを伝える。話す内容が一緒でも、ずいぶんと受けての印象は違うはず。一つの完成されたスタイルかもですが、すごくいいサンプルが手に入った
気分です♪

(おしまい)

PS その後、氏に直接話しにいった。氏も司法試験は通っているので、そのあたりで(恐縮ですが)少し共通する面もあり、そのあたりの話題を振ってみた。「渉外弁護士かー、経営の方がぜんぜん面白いと思うぜ。」とのこと。あちゃ(++;)
by sipoftip | 2008-06-08 17:34 | キャリア/コトバ/ロールモデル


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